こんにちは。不動産営業Yです。
今回は、マイホームの資金計画について詳細に話していきたいと思います。
以前の記事で不動産購入時のポイントや諸費用、税金の特例について話しました。もしまだ見られていない方はもしよろしければご確認ください。
マイホームの登記名義と持分
不動産を購入すると、その不動産の所有者は、所有者たる名義を登記する必要があります。
その名義の登記はマイホーム購入の資金を負担した分を登記します。負担した金額以上の登記持分を所有してしまうと贈与税が課税される可能性があります。
★持分割合の決め方
購入代金 5000万円
夫の用意した資金 ①自分名義の預金500万円
②銀行借入金3500万円
妻の用意した資金 ①自分名義の預金1000万円
自己資金の点検
マイホームの購入資金のために、自分名義の預金、債券、株などを現金化して資金を用意すると思います。
しかし、名義上は自分のものでも、その資金を名義できない場合があります。
下記にて表で例を挙げましたので、確認してみてください。
1 | お給料を貯蓄した預金 | 〇 | 7 | 所得のない専業主婦の預金 | △ |
2 | 相続でもらった財産である資金 | 〇 | 8 | 親・祖父母から贈与を受けた資金 | △ |
3 | 過去に贈与税でもらった資金 | 〇 | 9 | 配偶者から贈与を受けた資金 | △ |
4 | 過去に不動産を売却した資金 | 〇 | 10 | 義理の親から贈与を受けた資金 | × |
5 | 金融機関からの借入金 | 〇 | 11 | 配偶者名義の預金を自己の資金とした | × |
6 | 親が管理していた自分名義の預金 | △ | 12 | 親名義の預金を自己の資金とした | × |
〇は税務上問題なく可、△は内容および特例の適用により可、×は不可、内容により可
購入代金の点検
マイホームの持分計算の分母となるのは、購入代金に諸費用を加算した金額です。これを取得費といいます。
こちらも下記にて表で例を挙げましたので、確認してみてください。
■マイホームの取得費となるもの(土地)
1 | 購入代金 | 9 | 借入金契約書印紙代 |
2 | 土地上の古屋建物代金及び取壊し費用 | 10 | ローン事務手数料 |
3 | 整地・埋立て・地盛り・下水道・擁壁工事費等 | 11 | ローン保証料(借入日から使用開始までの期間に対応する保証料) |
4 | 購入のための仲介手数料 | 12 | ローン保証事務手数料 |
5 | 不動産取得税 | 13 | 団体信用生命保険料(借入日から使用開始までの期間に対応する保証料) |
6 | 登録免許税・登記手数料 | 14 | 抵当権設定の登録免許税・登記手数料 |
7 | 売買契約書印紙代 | 15 | 固定資産税・都市計画税の精算金 |
8 | 借入金金利(借入日から使用開始までの期間に対応する利息) |
■マイホームの取得費となるもの(建物)
1 | 建築費又は購入代金(工事代金・設計料・建築確認申請料等) | 9 | 借入金金利(借入日から使用開始までの期間に対応する利息) |
2 | 設計変更費用 | 10 | 借入金契約書の印紙代 |
3 | 増改築リフォーム費用 | 11 | ローン事務手数料 |
4 | エアコン・給湯設備等で建物に附属する設備 | 12 | ローン保証料(借入日から使用開始までの期間に対応する保証料) |
5 | 購入のための仲介手数料 | 13 | ローン保証事務手数料 |
6 | 不動産取得税 | 14 | 団体信用生命保険料(借入日から使用開始までの期間に対応する保証料) |
7 | 登録免許税・登記手数料 | 15 | 抵当権設定の登録免許税・登記手数料 |
8 | 売買契約書・建築請負契約書の印紙代 | 16 | 固定資産税・都市計画税の精算金 |
■マイホームの取得費とならないもの
1 | 借入金金利(使用開始日以降の期間に対応する利息) | 7 | インターネット加入料・CATV使用料 |
2 | ローン保証料(使用開始日以降の期間に対応する保証料) | 8 | 管理準備金・管理費・修繕積立金 |
3 | 団体信用生命保険料(使用開始日以降の期間委対応する保険料) | 9 | 引っ越し代金 |
4 | つなぎローン事務手数料 | 10 | 家電製品・家具・カーテン代金 |
5 | つなぎローン金利 | 11 | 町会費 |
6 | 火災保険料(家屋・家財・地震) |
贈与税が課税される場合
繰り返しになりますが、登記の持分は資金を出した割合で登記しなければなりません。
出した資金と相違する登記をするとその分資産の贈与を受けたものとして贈与税が課税されます 。
持分登記の間違いのほか、下記のような行為も贈与となるので、注意しましょう。
■贈与とされる行為
お金の受渡しがないのに財産の名義を変更 | 夫しか資金を出していないのに妻の名義を入れた場合や親が資金を出しているのに子の名義とした場合→妻や子が贈与を受けたことになる |
親の名を借りて、財産を取得 | 自分が借金をできないため、親が借入れをし、親の名義で購入し、借入金は自分で返済した場合→親が贈与を受けたことになる |
借金の免除をされた | 子が親から借入をし、その後返済をしないことにした場合→子が贈与を受けたことになる |
常識的でない返済条件で親などから借金した | 無利子やあるとき払いの催促なしなど、一般の銀行・金融機関の返済条件と大幅に違う場合→一般の銀行等の条件より有利な経済的な利益を受けたことになる |
時価よりも著しく低い価格で財産を買い受けた | 親から時価3000万円のマンションを1000万円で買い受けた場合→2000万円の贈与を子が受けたことになる |
ではそもそも贈与税の計算はどのように行われるか見ていきたいと思います。
課税価格=贈与財産価額- 110万円(基礎控除)
税額=課税価格×税率-控除額
※贈与財産価額はとは現預金はその金額、土地建物などの不動産や株などの有価証券は相続税評価額によります。
※基礎控除・・・年間110万円以内の贈与は申告は不要です。
{評価額(600万円)-基礎控除(110万円)}×税率(30%)-控除額(65万円)
=贈与税(82万円)
※具体的な税率等は下記表参照
■贈与税の速算表
1,20歳以上の者が直径尊属(親等)から贈与を受けた場合
課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | 無し |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1000万円以下 | 30% | 90万円 |
1500万円以下 | 40% | 190万円 |
3000万円以下 | 45% | 265万円 |
4500万円以下 | 50% | 415万円 |
4000万円超 | 55% | 640万円 |
2,一般(上記以外)
課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | 無し |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1500万円以下 | 45% | 175万円 |
3000万円以下 | 50% | 250万円 |
3000万円超 | 55% | 400万円 |
上記表の赤色の文字部分が上記の例で挙げた部分になります。
なお贈与税には住宅取得資金贈与の特例があります。親から住宅取得のための贈与であれば、一定金額が非課税となる制度です。(※詳細は下記参照)
直径尊属(親・祖父母)から一定の住宅の取得資金として贈与を受けた場合、一定の金額が非課税となる制度
★住宅取得資金贈与の限度額
住宅の種類(消費税がかかっているか、一定の良質な住宅かどうか)および住宅の取得の時期によって、限度額が変わり、300万円~1500万円まで非課税となります。
〇適用要件
①住宅の取得に充てること
②贈与者の子または孫で贈与の年において20歳以上
③贈与を受けた年の所得金額が2000万円以下であること
④贈与を受けた翌年の3月15日までに住宅の引き渡しを受けていること
⑤50㎡以上240㎡以下
⑥耐火建築物なら築25年以内、非耐火建築物なら20年以内であること
→上記築年数以上経過している場合には耐震基準適合証明書を取得
もしくは、既存住宅瑕疵保険に加入している住宅である必要があります。
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 |
住宅を消費税10%で取得 | 左記以外 | ||
省エネ・耐震等一定の良質な住宅 | 左記以外 | 省エネ・耐震等一定の良質な住宅 | 左記以外 | |
令和2年4月~令和3年3月 | 1500万円 | 1000万円 | 1000万円 | 500万円 |
令和3年4月~令和3年12月 | 1200万円 | 700万円 | 800万円 | 300万円 |
〇令和2年6月に消費税10%で良質な住宅ではない住宅を購入した場合
→上記表から1000万円が非課税、それに加えて贈与税の基礎控除と組み合わせて、最大1110万円まで非課税で贈与を受けることができる!
いかがでしたでしょうか?
自分では大丈夫と思っていても贈与税がかかってしまうケースもありますので、不安な方は 税務署や税理士に相談してみましょう!
まとめ
→負担した金額以上の登記持分を所有してしまうと贈与税が課税される可能性がある。
〇名義上は自分のものでも、その資金を名義できない場合がある。
→そのお金の発生源はどこなのかを確認する。不安なら税理士に確認しよう。
〇基礎控除110万円以上の贈与は贈与税がかかる。
→住宅取得でのみ使える贈与税の特例がある。
では次回の記事でお会いしましょう!