皆さん、こんにちは。
不動産営業Yです!
さて、皆さん突然ですが、不動産の価格はどのように決められているのかご存知ですか?
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「どういう基準で査定しているのか?」
「同じ不動産のはずなのになぜこんなにも不動産会社によって金額が違うのか?」
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今回はそういった疑問を解決するために「査定」について焦点を絞り、話をしていきたいと思います。
この記事では、査定の方法を3種類紹介し、どのように査定が行われるかを話します。
この記事を読み終えると、査定の方法について理解を深め、自分自身でその査定が妥当であるのかをある程度判断できるようになると思います。
査定方法はたったの3つのみ
上記でも書きましたが、査定方法自体は下記の3つのみです。
詳細はこの後書いていきますが、
中古戸建→取引事例比較法と原価法
収益不動産→収益還元法
で評価をされることが多いです。
査定方法①取引事例比較法
取引事例比較法については名前の通りで、実際に取引されている事例を参考に評価するという手法です。主に土地やマンションの取引で用いられます。
周辺で取引された不動産の価格を参考に不動産ごとの個別格差等を合わせて評価をします。
周辺で坪単価50万円、60万円、55万円で取引されている場合、対象不動産はおおよそ坪55万円で取引されるだろうとあたりがつけられます。({50+55+60}÷3=55)
そこに駅から近い、南向き道路、道路幅員が広い、角地といった個別の不動産ごとの要素から評価あるいは減価していきます。(大体0~5%前後の補正)
駅から近い=+5% → 55(坪単価)×1,05(補正率)=57,75万円(坪単価)
(あくまでイメージです。)
また査定の中でよく比較されるのが、路線価です。路線価は、国が発表する指標のひとつで、道路(路線)に面する宅地 1m2あたりの評価額を示します。
相続税や贈与税を算定するときの基準として適用されます。是非一度自分の土地でどれくらいの評価をされているのか確認してみるとよいでしょう。
例)路線価が70000万円、土地100㎡の場合
→70000×100=7,000,000円
取引事例比較法のメリット・デメリット
取引事例比較法は、相場を反映しやすいため、高い精度で「売れる価格」を算定できるのが強み(メリット)です。
ただし、参考にする取引事例によって査定価格の精度が左右される弱点(デメリット)があります。特殊な事例があれば、査定価格の精度が低下します。
というのも不動産業者は、レインズ(不動産業界のデータベース)で成約事例を調べます。レインズには、成約価格は登録されていますが、「どのような状況で売却されたか」までは分かりません。
売主が売り急いでおり、安く売却した場合もあれば、逆に需要が多く通常以上の価格で売却できたケースもあります。
その中でも注意してほしいのは、 不動産業者が意図的に顧客に対して特定の事例のみで説明し、相場価格を誤認させてしまうケース もあります。
大事なのは、参考にする取引事例の選び方です。ここに不動産業者の違いが現れます。そのため、同じようにレインズの成約事例を参考にしても、不動産業者によって査定価格に差が出るのです。
あなたが売却しようと考えている物件を得意とし、その物件のあるエリアに強い不動産会社であれば、自社で取り扱った事例も多く、背景事情にも詳しいので、より類似性の高い物件を選び出し、精度の高い査定が可能なのです。
査定方法②原価法
二つ目は、原価法ですが、これは 同等の不動産を取得するのに要する価額から経年劣化による減価修正を行い価格を推定する方法 です。
上記でも書きましたが、主に、中古戸建の査定に用いられます。
住宅の査定価格は、土地は取引事例比較法で、建物は原価法で、それぞれ別々に計算します。
計算式は、次のようになります。
ここで紹介している原価法による計算は、あくまでも概略です。実際には、グレード等により補正係数があり、不動産業者によって採用する減価修正率等が異なります。
建築単価(1㎡あたりの単価)は、国税庁の「建物の標準的な建築価額表」を参考にします。これは、国土交通省の「建築統計年報」をもとに、1㎡あたりの工事費予定額を算出したものです。
例えば、平成30年の建築単価は、次の額です。
木造・ 木骨モルタル |
鉄骨鉄筋 コンクリート |
鉄筋 コンクリート |
鉄骨 |
---|---|---|---|
168、5 | 304,2 | 263,1 | 214,1 |
(単位:千円/㎡)国税庁「建物の標準的な建築価額表」より。
ホームページを探しましたが見つからないため、参考になるURLも添付します。
耐用年数は、構造・用途ごとに「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で定められています。
構造・用途 | 細目 | 耐用年数 |
---|---|---|
木造 | 住宅用 | 22年 |
木骨モルタル造 | 住宅用 | 20年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 |
住宅用 | 47年 |
金属造(鉄骨造) | 住宅用 | 19・27・34年 (骨格材の肉厚別) |
れんが・石造・ブロック造 | 住宅用 | 38年 |
※「減価償却資産の耐用年数等に関する省令・別表第一」より抜粋。
建築:平成30年3月 構造:木造2階建 延床面積:100㎡
現在令和2年3月 →経過年数2年
168500円(建築単価)×100(㎡)×2/22≒1530万円
原価法の問題点
原価法の計算式から分かるように、減価補正係数が[1-築年数/耐用年数]ですから、木造住宅の建物価格は、築22年でゼロとなります。
「築20年を超えた住宅には価値がない」ということではありませんが、不動産業界の慣行としてやはり耐用年数経過した建物は評価されづらいと言えるでしょう。
「住まい」としての機能は、まだまだ十分に備わっていたとしても、建物の耐用年数によって一律に減価修正するため、 築後相当年数経過で市場価値はゼロとなる のです。
現在、多くの不動産査定の現場で、原価法として用いられている評価手法には、このような問題点もあります。
中古戸建て住宅の建物評価の改善に向けた国の取り組み
上記でも記載しましたが、耐用年数経過した建物は評価されづらい部分があります。
それが中古住宅流通市場を活性化するうえで阻害要因となっていることから、
国土交通省は「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」(2014年3月31日)を策定し、良質な維持管理やリフォームが行われている住宅が適切に評価されるよう、原価法の運用改善と建物評価のあり方を提言しております。
指針は、中古戸建て住宅の大半を占める木造を対象とし、他の構造の住宅を評価する場合の指針の援用については今後の検討課題とされています。
評価改善の基本的な考え方は、次の点です。
- 住宅を「基礎・躯体」と「内外装・設備」に大きく分類し、基礎・躯体については、性能に応じて20年より長い耐用年数を設定し、例えば長期優良住宅であれば100年超の耐用年数とすることを許容する。
- 基礎・躯体部分の機能が維持されている限り、リフォームを行った場合は住宅の価値が回復・向上すると捉えて評価に反映する。
従来のように、住宅の法定耐用年数によって一律に減価修正するのでなく、各部位の特性に応じて減価修正を行うことを提唱しています。
査定方法③収益還元法
最後の3つ目は収益還元法です。
収益還元法は、収益物件の価格査定に用いられる手法です。 収益還元法には、一定期間の純収益を還元利回りによって還元する方法(直接還元法)と、その 物件の将来の売却までも計算に入れた方法(DCF法)があります。
今回は、簡単な直接還元法についてのみ見ておきます。直接還元法の計算式は、次のようになります。
〇月額賃料収入が10万円のマンションの場合、年間賃料収入は120万円となります。経費(管理費)が20万円、想定還元利回りを年10%とすると、
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査定価格=(1,20万円-20万円)÷10%
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査定価格は1000万円となります。仮に想定還元利回りが20%だと、査定価格は500万円となります。
収益還元法では、買ってもらえる利回りを想定する相場観が重要です。実際に買ってもらえる利回り等を加味して計算するため、取引事例比較法に近い部分もあります。
まとめ
査定方法は3つあり、下記の通りです。
《取引事例比較法》 〇実際に取引されている事例を参考に評価するという方法 〇不動産業者が意図的に顧客に対して特定の事例のみで説明し、相場価格を誤認させてしまうケースに注意が必要 〇土地・マンションの査定で利用する
《原価法》 〇同等の不動産を取得するのに要する価額から経年劣化による減価修正を行い価格を推定する方法
〇[査定価格]=[建物価格]+[土地価格] 〇建物価格=建築単価(円/㎡)×建物面積(㎡)×(1-築年数/耐用年数) 〇中古戸建の査定で利用する
《収益還元法》 〇一定期間の純収益を還元利回りによって還元する方法 〇査定価格=純収益÷還元利回り 〇収益物件の査定で利用する
それぞれ自分の相談する不動産の場合の査定方法を確認し、査定内容が妥当性のあるものかどうか判断できるようにしましょう。
今回は以上です。ご覧いただき、ありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう!
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